心房中隔穿刺と心タンポナーデ
経皮的僧帽弁形成術で心タンポナーデをきたす場合は、1)誤って右房自由壁を穿刺してしまう場合、2)ブロッケンブロー針が心房中隔を滑って右房壁の天井から大動脈内に突き抜けた場合、3)左房に抜けた後に左房壁(ほとんどが天井壁)を突き抜けてしまう場合、の三通りが考えられる。いずれの場合も心膜(臓側)にあたるので患者は胸痛を訴えることになる。
経皮的僧帽弁形成術の創始者である井上先生に15例ほど直接ご指導いただいた後、いざ自分で穿刺を始めた初期の頃にどうしても不可能であった症例があった。マリンのシースからブロッケンブロー針を出しちょっと突いてもすぐ患者が胸を痛がるのである。このケースは外科のベテラン医師に穿刺の手を変わってもらったが、結局は穿刺を諦めた。
自施設以外に全国のあちこちで技術指導を行ったがこの症例以外に中隔穿刺を断念した症例は無い。今であれば心腔内エコーや経食道エコーを併用したりしたであろうが、当時はそのようなことも考えつかなかった。どのようなバリエーションがあっても心房中隔穿刺に自信が持てたのは100例を超えた辺りからであろうか。それにしてもこの手技を後輩に安全に習得してもらうには、症例の激減した今となっては難しい。
Column List >>