電子カルテのメリット
自分でクリニックを開こうと思ったとき、紙カルテは全く考えなかった。当然、写真はフィルムに焼かず、心電図は紙に印刷しない、エコーはビデオに記録しない、徹底して電子化しようと思った。
ここ数年はIT技術の進歩で世の中はどんどん進んでいる。街角から雑貨屋が消えコンビニが当たり前のようになった時代に、医療だけはIT化から立ち遅れてきた。この理由はいろいろあろう。個人の健康情報を取り扱うことの難しさも原因だと思うが、一番の理由はユーザーである医療者の認識の問題である。現役の医者の年齢幅は実に50年近い。いろんな考えや背景が入り交じっている。これらを統一して行くのは至難の業である。キーボードアレルギーのない世代は僕より下の世代だと思う。誰もが自由にパソコンを扱える時代がくるのは、いわゆるプレステ世代が主流になるまで待たなければならない。
電子カルテが導入された時に「先生はモニター画面ばかり見て顔を見せない」とよく言われる。確かにブラインドタッチができない場合、モニターと患者の顔を同時に見ることは不可能である。しかしこれまでの診察室スタイルであっても、患者の顔を見ないでカルテは書けなかったはずである。この批判は当たっていない。紙の時代では資料を取り寄せたり、探したりする無駄な時間が多かった。それに対し電子カルテでは共通の画面を見ながら説明できる。資料も簡単に呼び出せるから実に無駄が少ない。その分、充分に話を聞くことが可能になった。僕の場合は電子化したおかげで、患者さんと話す時間が明らかに増えた。これこそが電子化の最大のメリットなのである。
Column List >>