医者の停年
狭心症で外来に通ってる僕の親父と同年の消化器内科医がいる。ある時、彼は涙ながらに「これは僕の形見の時計です。先生もらってください」
「先生、そんな・・・。受け取れませんよ」
彼は奥さんと別居して診療所に住みながら医療を行っていた。83歳になった今でも週に何回か内視鏡を行う。手元もおぼつかないのに。息子は親父と一緒に診療するのをいやがって別の場所に開業している。外来にくるたびに、「医者をいつ辞めるか迷っている」といいながら、その機会を逸し続けてきた。
当然、高齢化の波は医師の世界にも及んでいる。もともと医者の寿命は一般人よりも明らかに短いとされている。その理由は、激務であることや放射線被曝機会の多いこと、「医者の不養生」なども理由に挙げられるであろう。しかし、高齢化は医師の世界にも当然ながら着実に進んでいる。
医師免許は終身免許制である。つまり自分で「辞めた」と言わない限りいつまでも医師でいられる。このことは果てしない問題点を含んでいる。体力はもちろん判断力、決断力が常に求められるし、最新の知識を得ることも必要である。もちろん年齢だけで判断はできないが、なんらかの試験などで適正判断はしなければならない。場合によっては引退勧告も必要なのではないだろうか。
医師の免許は更新制にすべきである。病院の医療ミスが吹き出しているが、開業医の医療ミスはなかなか表に出てきにくい。敢えて言うが、医師会自らがその方向性を打ち出すべきである。
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