健康食品とペットと混合診療
世の中、健康食品ブームである。平和な日本の象徴とも言える。
プロゴルフトーナメントのスポンサーに健康食品で大きく成長した企業がどれだけ名を連ねているかご存じだろうか。テレビでこれが健康に良いというとすぐに店頭から消える。タンス預金の豊富な消費者はサプリメントならいくらでもお金をかける。
ワーファリンという抗凝固薬は、きちんと飲んでいないと毎月一度検査する血液検査の値が狂ってしまう。いわゆるドラッグコンプライアンスの指標になる。ところがきちんと飲んでいるというのにどうしても値が定まらない患者さんがいる。
「何か健康食品をとっていませんか?」
「ええ、何種類か」
「月にいくら使っていますか?」
聞けば聞くほどたくさんの種類をあげる。多い人で20種類以上もの健康食品を口にしていた人がいた。毎月、それにかけるお金は軽く10万円を超えるという。
これはまるで「信ずるものこそ救われる」の世界、つまり宗教である。さながらお布施代のごとくいくらでもつぎ込む。御利益を求めて、東で良いと言えば買い漁り、西でこれが効くといえば買い求める。

世の中、ペットブームである。これもまた平和ニッポンの象徴だ。
朝早く車を走らせていると、どれだけの犬に手を引かれた散歩者に出会うことか。これだけ犬がいると言うことは当然病気になった犬もいると言うことである。病気になった犬は動物病院へ行く。そこはヒト様と違って健康保険はきかない。つまり自費である。ヒト様以上に高い金を払って病気を治してもらう。「医療ミス」で訴えられたという話はあまり聞かない。少なくともヒト様への医療よりは腕が良いのかも知れない。高い金をいただけばそれだけ慎重に丁寧にとりくむせいだろうか。ヒト様を治す身の医者からすれば何ともやりきれなくなるのはおかしいことだろうか。

世の中、混合診療解禁反対でかしましい。
かといって今の皆保険制度が理想的制度なのだろうか。戦後の貧しい時期を経て形成された世界にまれに見る現行制度は確かに素晴らしい。我が国の高齢化社会形成にどれだけ役だったかは言うまでもない。確かにアメリカの制度がどれだけ医者のやる気を失わせたかはすでに報告されているから決して見習うべきではない。しかし本当に今の制度で良いのだろうか。
患者本位の理想的な保険制度とはなんだろう。
病院だけでなく、医師個人の評価法が確立していない日本では所詮無理かも知れないが、医師全員が加盟し、自浄作用をもったプロ集団へ変革しない限り、患者=国民に信頼された医師会にはならないのだと思うのは僕だけだろうか。
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