雪の年末
新潟の雪は重い。ボクの田舎は日本海に面していて、タップリと湿り気を含んだ雪が降る。子供の頃は一晩で一メートル積もることは当たり前であった。日本海から強い風が吹くときはあまり積もらない。風のない時が積もる。津々と降るときが積もる。怖いくらい静かな夜のほうが積もる。我が家の目の前を北陸本線が通っていた。ラッセル車が雪をかき分け進むと、家の前まで雪がとばされ更に雪の壁が高くなる。一度だけ積もった雪が二階の高さにまで及んでしまったことがあった。この時の出入りは二階からしなくてはならなかった。
ボクが子供の頃のスキーは、いわゆる長靴スキーであった。つま先を輪っかの中につっこんで固定し、踵はゴムで止めるだけであるから浮いてしまう。エッジなんてないから曲がることは不可能に近い。家の裏山から北陸本線に向かって、結構な斜面を直滑降するのが得意であった。どちらかというと運動が苦手なボクだったが、小学校のスキー大会の直滑降で優勝した思い出だけが残っている。これは裏山のおかげであろう。
中学は4km離れた町にあった。雪のない時は自転車通学していたが、雪の降るときはさすがに無理であった。バスに乗ったり歩いて通ったこともある。
雪なんて憎いだけで、ちっとも楽しくない冬であった。

東京、厳密に言うと横浜に親戚があり、子供の頃何度か遊びに来ていた。しかし冬の差を実感したのは大学受験の時が初めてであった。当時、大学受験は一期校と二期校に分かれていた。すでに地元の医学部に合格していたが、高校三年の担任が、「受験料を出すから医科歯科を受けてみろ」という。横浜の親戚に泊まって代々木ゼミナールで行われた試験のために上京した。この時が表と裏日本の差を知った初めてのことだったと思う。まさか30年後に都心で開業することになるとは全く思ってなかった。
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