心に残る思い出の歌 (2)
大学の受験勉強でクラリネットを吹くこともなくなり、苦学生だった大学ではバイト生活に明け暮れていた。そして大学を出て医者になってからはあまり音楽とは縁のない生活を送っていた。ただこのころからカラオケなるものが流行り始めたような気がする。酒の飲めないボクがあるスナックに通い続けたのは30歳頃であった。別にママさんが美人というわけでなく(実際、肥満と高血圧で若くしてクモ膜下出血で亡くなられた)カラオケを歌いに通ったのである。今でこそ恥ずかしくて人前で歌うことは金輪際ないが、当時は「つなぎのオオタキ」と呼ばれていた。

「明日に架ける橋」 Simon & Garfunkel
『卒業』でダスティン・ホフマンが別れた恋人キャサリン・ロスを遠くから見つめるシーンで流れた曲、「スカボロフェア」が好きだという人も多い。しかしボクはアート・ガーファンクルのあの澄み切った声が好きだ。彼の歌う「明日に架ける橋」は絶品である。S&Gが解散したあと、Gのソロアルバムの一曲(曲名を思い出せない)が好きでなんどもなんどもLPレコードをならしたものだ。上京した時にガーファンクルのコンサートを五反田まで聞きに行った。年をとったガーファンクルだったが声は相変わらず澄んでいた。

「Love is blind」 ジャニス・イアン
坂口良子という女優がいた。ドラマの題名は忘れてしまったが、彼女が主演したTVドラマの主題歌に採用されたのがこの曲である。相手の男優が誰だったかも、すっかり忘れてしまった。
ジャニス・イアンの切なそうに唄う声が耳にこびりついて離れない。

『A LONG VACATION』 大滝詠一
「大滝詠一はボクのお兄ちゃんです」と言うと本気にされてしまったこともある。はっぴいえんどの一人として活躍した後、ソロ活動に入ったお兄ちゃんが出したアルバム『A LONG VACATION』は傑作だった。なかでも「恋するカレン」や「さらばシベリア鉄道」などは本当に彼らしい歌だと思う。ボクにはとても自慢のお兄ちゃんである。

「帰って来いよ」 松村和子
昔、好きだった人のふるさと弘前を訪ねたことがある。桜が咲くころの弘前城址公園から見た雪を抱いた岩木山の雄姿は忘れられない。この時思わず口ずさんでいた唄は、「帰って来いよ」だった。
弘前というところはボクが高校時代を過ごした新潟の高田という城下町に似た街だ。城跡に公園があり、近くに大きな山を仰ぎ見ることができるし、なによりも桜の名所である。彼女の実家は桔梗野というとてもきれいな名前の街であった。ほろ苦い思い出の街である。

「さよなら」 オフコース
さだまさしとならんで小田和正はボクの青春そのものだ。ふたりとも息が長いミュージシャンである。何年か前に横浜でのコンサートに行ったが、小田さんは50も半ばを過ぎるのに相変わらずラブソングを歌っていた。
数年前に『自己ベスト』というアルバムを発表したが、なかでも「さよなら」はいつ聴いてもいい。
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