I先輩の引退
I先輩、大変お疲れ様でした。今度、お嬢さんに社長業を譲られると聞き、やっと主治医の言うことを聞いて決断してくださったようでホッとしました。

思えば先輩にお会いしたのが今から10年前のことでした。榊原記念病院の個室でした。当時の院長が僕を呼んで言いました。「おい、君の高校の先輩が入院してるから見舞いに行ってこい」
名前を見ると「I,K.」
「どこかで聞いた名字だなぁ」
花に囲まれた病室に挨拶に行ったときが先輩との最初の出会いでした。
その後、二回目の入院の時は命をかけた大手術。これも見事に乗り越えました。そして銀座にお店を出すまでになったのです。その間、外来主治医はボクの大学の後輩に任せていました。
そして、ボクの開業後まもなくお嬢様から必死の声で電話がありました。「二度あることは三度ある」です。ボクは「しまった」と思いました。と同時に、もし命が助かったら今度こそボクが主治医となって管理しなければならないと思ったのです。この病気で三回の発作を乗り切った患者さんは恐らくいないと思います。「何故三回も繰り返したのか」、この疑問を解くことがボクの仕事でした。そしてたどり着いた結論が「引退勧告」だったわけです。病気の重大さを考えると遅すぎた感はありますが、それでも今回の勇気ある決断に敬意を表します。

先日、先輩のすてきな笑顔を見てボクの進言が決して間違っていなかったことを確信しました。是非、これからは私たちのモデルとなるような引退後の新しいライフスタイルを確立してください。
これまでいろいろと先輩に対して失礼なことを申し上げましたが、全て先輩の健康を思えばこそですので、どうかお許し下さい。

このたびのパーティにお招き頂いたのに所用にてどうしても出席できません。お嬢様にくれぐれも宜しくお伝え下さい。
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