ボクの師たち(2)
新潟市立市民病院で研修を始めた時、塚田先生が臨床の師であるなら、呼吸器内科の山本先生は「学問の師」であった。
彼はボクに「内科と外科の違いはなにか」という禅問答をしかけた先生である。ある時には部屋に呼ばれ、「君は言葉遣いが悪い」と注意されたりもした。
 
医局の図書室に行くたびに英文雑誌を読んでおられる先生の姿をみかけた。今のようにインターネットで簡単に検索したりすることができない時代。文献を集めたりすることは大変であった。普通、自分の専門外の雑誌に眼を通すことはあまりしない。しかし山本先生はあらゆる雑誌に眼を通し、呼吸器関連の論文は見逃さないようにしておられた。
当然これだけ論文を読み、コピーをとって残しておくとなると保管が大変である。研修が終わろうとする頃、新潟郊外の先生のお家に招待された時、先生の整理術をみることができた。入り口の扉の部分を除いた書斎の壁の全面が、文献をファイリングしてはさんだA4ファイルで埋まっていた。後にも先にもあんなにすごい量のファイルはみたことがない。山本先生は論文の読み方から整理の仕方まで事細かに教えてくださった。彼の域には当然達してはいないが、あのファイルの山はどうされたのであろうか。
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