インフルエンザとタミフルと国民皆保険
アメリカ国防長官のラムズフェルドをにんまりとさせたタミフル不足は、いろんな波紋を呼び起こした。彼をにんまりさせたのは、自身が会長をしていたベンチャー企業がタミフルの製造販売権をスイスのロシュ社に譲ったための利益だという。
この問題で明らかにされたのは、全世界のタミフル消費量のうち、四分の三はこの日本で使われていることだ。この理由や背景にふれたメディアの論調はあまりみかけない。このままでいけば日本の医者が「やたらにタミフルを投与」していると受けとられかねない。
 
国民皆保険の我が国ではちょっとした感冒症状でも病院を訪れる。発熱患者が来院しインフルエンザが少しでも疑われれば、簡易キットでインフルエンザかどうかを検査する。その結果、陽性にでもなれば直ちにタミフル投与となる。だからタミフル消費量が増加する。増加すれば一定の割合で出現する副作用が報告される。それがアメリカFDAをして「タミフル疑惑」騒動となったのである。
 
今、我が国では郵政改革に次ぐ「標的」として医療改革が声高に叫ばれている。ボクも所属する日本医師会は「国民医療推進協議会」なるものを結成し、「国民皆保険制度を守る署名運動」を続けている。基本的には「患者負担増」に反対することが主眼のようだ。「患者負担増」が受診数を抑制し、医院や病院外来受診が減ることが開業医の生活を脅かすと言うことなのだろうか?少なくとも今までの医師会活動ではそのように思われても仕方ないと思うのは言い過ぎだろうか。
成熟した資本主義社会(死語に近い響きだが)においては、応分の負担をすべきではないか。このままではすでにきつつある高齢化社会の保険制度が破綻するのは眼に見えている。「患者負担増」に反対ではなく、高齢化社会における皆保険制度を守るためにはどうすべきかという提案がない限り、郵政改革に反対した人たちと同じ運命をたどるように思えてならない。
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