分相応の負担
年末に医師会が主体となった「国民医療推進協議会」なるものが、署名運動を行った。それはまるで一昔前の社会党の掲げるスローガンと見間違うばかりの「反対、反対、反対」の羅列である。
にもかかわらずあっさりといとも簡単に、歴史的な診療報酬の引き下げが決定した。いったいあの反対運動はなんだったのだろうか。
 
世の中の流れを考えれば、自分たちの既得権益だけを守ろうとするような運動は時代錯誤も甚だしい。むしろ国民皆保険の利点と問題点を整理し、それを守るために払われなければならない「代償」を恐れずに、積極的提言を行うべきではなかったか。
 
アメリカでは富の75%を1%の人間が握っているという。一億総中流意識の強い日本ではそこまでは貧富の格差はないと思うが、共産主義国家中国やアジア・アフリカ諸国に比べればはるかに豊かな国である。
健康食品や健康器具、ペット医療などにどの程度の費用をつぎこんでいるか正式な統計はない。それでも、昨年の長者番付にFやDなど健康食品を主たる商品にしている会社経営者が載っていたことを思えば容易に想像できよう。医者なんかに払うよりは彼らに払う方がよっぽどいいと消費者=患者たちが思っているのだとしたら、彼らの不満を拾い上げてこなかった我々医療者の怠慢のなせる結果だと考えるしかない。
 
それにしてもこの国が豊かさを保ち続けるためには、なにが必要であろうか。消費税率引き上げ論もそうだが、国民の人気とり政策ではなく、もっと国の将来を見据えた議論をせねばなるまい。分相応の負担をすることが国民皆保険制度を守る唯一の方法であるのだ。
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