悲しい大晦日
2005年もあとわずかで終わりだ。
大晦日の今日の午後、診察室の整理整頓をしている時に電話がなった。
こんな時に誰がかけてきたのだろうかと思いつつ受話器を取った。
「こちら目白警察署刑事のものですが・・・。おおたきクリニックさんでしょうか?」
いやな予感がした。
最近話題の「振り込め詐欺」かとも思って警戒した。
 
これまでも何度となく警察からの電話をもらっているが、ほとんどはろくなことではない。患者さんの事故であったり、ある時は事件であったりする。取り調べ尋問に耐えうるかと聞いてきたこともあった。
 
「そちらにかかりつけのOさんですが、今日午後にアパートの部屋で亡くなっておられるのを会社の方に発見されたのですが・・・」
「えぇ〜」
 
今から12年前、彼は急性心筋梗塞で榊原記念病院へ入院した。バスの運転手をしていた彼は、妻と子供に見捨てられ一人暮らしをしていた。集中治療室でもその後の手術の時でも、家族は誰一人として現れなかった。
不思議と明るい顔をして、「先生いいよ、家族はいなくても俺が一人で決めるから」
バイパス術を乗り切った彼は、慢性心不全に苦しめられながらもボクの忠告を無視してバスの運転手を続けた。
「Oさん、危険だからさぁ、路線バスの運転手はやめようよ」
「わかった、先生。送迎バスくらいならいいだろうよ」
やっと彼はそう言って冠婚葬祭の送迎バスの運転に替えた。
 
ボクが開業しても、ボクを慕って真面目にクリニックに通ってくれていた。あんないい人が亡くなってしまうなんて。悲しい2005年の大晦日になってしまった・・・合掌
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