門前の小僧
田舎の我が家の屋号は「モンゼン」、「門前」である。
 
我が家のお隣さんはお寺であった。「あった」という意味は、今は廃寺同様になっており、お坊さんは常在していないからである。
ボクが子供の時は年老いたお坊さんが一人いたことを覚えている。お坊さんは「笠原さん」という名前のじいさんだった。
石の階段を30段ほど上った丘の上にそのお寺はあり、わが家の前はその参道であった。参道の脇には親父の趣味である盆栽の鉢が所狭しと並べられ、お参りに来る人たちの関心をよんでいた。
また大きなイチョウの木が参道に覆い被さるように立っていた。このイチョウの木は雄で、銀杏の実はつけない。木登りが得意だったボクは、この大きなイチョウの木に登って遠くを見渡すのが好きだった。
お寺の前の庭に立つと目の前には日本海が広がり、遠く佐渡島をみることができる。ボクはここからの眺めが一番好きで、小中学校時代に絵の宿題があった時は下手なスケッチを描いた記憶がある。
 
そのお寺さんはお坊さんの病気による引退で跡継ぎも決まらず、檀家代表であったお袋の実家が管理することになった。夏は長野市の小学生の臨海学校として寝泊まりするところに形を変えた。その臨海学校も昨年で終わったそうだ。少子化の影響がこんなところにもでているのかもしれない。
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