宿沢さんの死
ラグビーは自らプレーしたことがない数少ないスポーツの一つである。それでも一時期は夢中になってTV観戦をしたものだ。
早大の名プレーヤーだった宿沢さんは当然のごとく日本代表監督に就任、89年にはスコットランドとのテストマッチに勝っている。彼はビジネスマンの世界でも活躍しサラリーマンの憧れでもあったことは有名である。
その彼が先日、赤城山に登山中に亡くなられたとの報道があった。死因は急性心筋梗塞とのことである。
 
当初のニュースを見たとき、登山中に急性心筋梗塞になったとしたら登っている途中で倒れたのかなぁと思っていた。しかし新聞によれば彼は赤城山に登った後、下山中に倒れたとのことである。これはおかしい。心臓に負担がかかるのは下山中よりは登山中の方だと思う。ボク自身、もう20年以上は登山していないが、アルプスを登っていた頃のことを思うと、下山よりは重い荷物を背負って登っている方が血圧が上がり脈拍が増えている気がする。
だとしたらなぜ彼は「下山中」に発作を起こしたのだろう。
もし急性心筋梗塞の前ぶれである狭心症があったとしたら、彼はきっと赤城の山などには登らなかったであろう。前ぶれの狭心症症状を心臓発作と思わなかったとしたら別ではあるが・・・。
これまでたくさんの急性心筋梗塞の患者にインタビューしてきて感ずることは、お年寄りは別にして、動脈硬化のそれほど強くない血管の持ち主(=若者)の場合は、ストレスにさらされている真っ最中に発作をおこすことが圧倒的に多い。
しかし稀ではあるが、逆にストレスから開放されてホッとした瞬間に起こしていることもある。Tさんの場合は母親の抱えていた借金を完済した途端に狭心症が頻発、もともと先天性心臓病で手術した後でボクのクリニックに通っていたため幸いにも急性心筋梗塞の一歩手前(急性冠症候群)で救うことができた。
下山中と言うことはこの「ホッとした場合」に似ている状況なのかも知れない。
 
昨日、当クリニックに通っていたサラリーマンが突然死したとの訃報が届いた。糖尿病と高血圧で加療中の彼は月曜の朝、会社を目前に倒れてしまった。もちろんなんの前ぶれもなかった。ストレスがあって当たり前の社会。要はいかにストレスから身を守るかということであろう。
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