産業医
開業当初は医師会認定の産業医資格を取得しようとは思っていなかった。しかしこのビルや周辺のビルにある事業所などから要望があるため、やむを得ずとることにした。
何年もかけて週末に都内のいろんな大学などに出かけてこまめに単位を取るのもひとつの方法だが、できれば集中的に講義を受けて一気にとってしまいたいと思っていた。
そこで今年の夏休みを利用して北九州市の産業医大で行われる集中講座に申し込みをしたのだ。一年前に申し込んだときはすでに満員でキャンセル待ち1000番台だった。それほどたくさんの申し込みがあると言うこと。今年になってようやく滑り込むことができた。
クリニックの夏期休暇をその集中講座に充てることにして、7月31日の夜の便でできたてホヤホヤの北九州空港へ飛んだ。
翌朝、6時半に朝食をとり、7時15分にはホテルをバスに乗ってでかける。8時頃に産業医大着、8時半から夜7時過ぎまで缶詰で講義を聴くスケジュールである。
当初は容易に考えていたが、学生時代すらなかった集中講義、一こま二時間の一方的講義を聴くのである。途中に10分ほどの休憩時間はあるが、昼休みも30分しかない。その間に階段教室に用意されたコンビニ弁当風昼食を食べ、また講義。
これには参った。椅子は固くはないが狭いので足が伸ばせない、腰は痛くなる、首は痛くなる、何よりも一方的に講義をただひたすら聴くのである。
回りを見渡せば400人以上の医者たち。自分の子供のような世代もいれば、ボクよりも年上の先生もいる。居眠りはまだしも、新聞を読みふける者、携帯電話をいじる者、文庫本を読む者、そしてなによりも驚いたのはマンガ本を読む若い医者がいたこと。
なぜこんな風景がまかり通るか。それはこの講義が単なる聴くだけで何も評価(すなわち試験)を行わないからである。ただ聴いて参加したことの証明をもらえばそれで「認定」されるのだ。誰が認定するかって? それは日本医師会会長である。まさに医師会的(または日本的)であると言わざるを得ない。
 
産業医の業務の一つである労働者の健康管理としての健診業務が、EBMに基づかない予防医学であることは一部の公衆衛生学者から言われはじめている。欧米では行われていないからである。今回の講義の中ではこの点にわずかに一時間しか触れていなかった。
いろんな疑問でかえってスッキリしないまま小倉をあとにした。
Column List >>