医師不足(2)
医師不足ではなく医師は充足している。問題は「ある部門の勤務医が不足」していることである。そもそもこの流れは何故生じたかを考えてみよう。
 
直接のきっかけは「マッチング」とよばれる新研修制度が厚労省主導で導入されたことにある。身分が不確かであった研修医を、スーパーローテートと呼ばれる研修システムに繰り入れる(これは彼らの生活保障につながる)と同時に彼らの人事権を医局から奪うことにその目的はあった。
その結果なにが生じたか。研修医は魅力のあるシステムを持つ都会の大病院へ流れた。2006年のマッチングの充足率を示す全国79大学病院ランキングをみると、ボクの育った新潟大学は下から数えて4番目だった。残念ながら研修医にとって魅力がないということもあるだろうが、中途半端に東京に近いことも災いしたものと思われる。
この現象は大学病院が担っていたはずの研修医教育が実はそれだけでなかったということを示している。つまり「ムスケル・アルバイト=肉体労働」としての研修医頼みが叶わなくなったために、これまで研修医にも頼らざるを得なかったジッツ(=関連病院やバイト先)への医師派遣が狂ってきたのである。そのために医師の配置見直しをせざるを得なくなり、医師を引き上げるということが生じた。そして生じた現象は地方の病院の医師不足とそれにともなう外来閉鎖、病棟閉鎖という現象なのである。
医局制度を残したまま研修医養成システムを変更したための弊害、しわ寄せが地方の病院に顕著に現れている。まずは医局制度をなんとかしなくてはならなかったはずだ。医者の人事権を医局から取り戻さない限り変革は進まないと考えたのだろう。しかしいつどんな時代もそうだが、ショック療法を与えないと既得権益にどっぷりつかった組織は目が覚めない。大学病院や教授自らが変わらない限り今の混乱は続くであろう。
 
二番目の原因は、「立ち去り型サボタージュ」(小松秀樹先生)とよばれる勤務医から開業医へのシフトである。このことはきわめて大きな問題点を含んでいる。
これは次の章で書く。
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