医師不足(6)
世界の医療機器メーカーは、GE(アメリカ)、シーメンス(ドイツ)、フィリップス(オランダ)の三社に集約されたと言って良い。残念ながら東芝、日立などの日本メーカーは世界企業には成り得なかった。
たとえばボクの専門分野である心臓超音波の分野では、ハイエンドユーザーは上記三社の機器を使っていることが多い。確かにある時期までは日本企業の製品は世界をリードしていたことは間違いない。しかし超音波の新技術がソフト開発に移ってからは、なかなか画期的新製品を出すことができなくなった。
しかしながら家電業界もそうであるように、金融系のような合従連衡がすすまない。このことは製薬業界にも似ている。
日本におけるシェアをみると東芝をはじめとした国内企業が依然として高い。それはローエンドユーザーと言える一般開業医や個人病院での購入が多いからである。
確かに日本語環境やアフターサービスと言った面では優れているであろう。しかし理由はそれだけでもないのである。例えばCTやMRIといった高額医療器械のおまけとして、心エコー機器が「プレゼント」されている例も多いと言われている。この背景にあるのは、我が国の特徴として開業医や個人病院での高額医療器械の設置率がきわめて高いこともあるのではないだろうか。
 
そもそも我が国には病院数が9014もあるという事実がある。ここには19床以下の診療所数は含まれていない。国民皆保険によるフリーアクセスに応えるためというのがその理由であろうが、適数かどうかの検証はされていない。少なくとも厚労省は病院数を減らそうと政策誘導をし始めた。
たとえばここ文京区では二つの国立大学病院と二つの市立大学病院がある。そこにはそれぞれ心臓外科があって(教育機関であるからやむを得ないだろうが)、多くても年間450例ほどで、四施設合わせても榊原記念病院一施設に及ばない。
心臓外科を標榜していている病院はおおよそ470施設ある。ドイツがわずか約80施設であることを考えるといかに多いかわかる。その結果、当然ながら年間100例以上の手術数がある病院は32%である(2006年10月の日本胸部外科学会調査結果)。以前のコラムでも書いたが厚労省おひざもとの病院でも100例そこそこであるから、推して知るべしである。
 
医師不足と言われる背景にこの病院数の多さがあり、それは病院の評価(医師個人の評価も)を避けてきたツケであろう。ちなみに「日本医療評価機能機構」という財団法人がある(アメリカ合衆国JCAHOの日本版)。ここの評価を受けた病院数は未だ1/4ほどである。うがった見方をすれば、残り3/4は評価すら受けることができない病院だらけだと言っては言い過ぎだろうか。
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