YIPS
それにしてもとんでもない病気だ。
ここ5-6年に渡ってこの病気にとり憑かれてしまった。
ガンであればもうこの世にはいないはずの年月が経ってしまったのだから、少なくとも悪性疾患ではない。
しかしこの病気にかかってしまっては楽しいはずの「週末のお仕事」も苦痛になってしまう。ストレス解消のはずがかえってストレスになろうというもの。本当に困ったものだ。
この病気を治すにはひたすらトレーニングだと思っていた。プレー前には誰よりも早く練習場に行き、プレー後も遅くまでひたすらボールを打ち続けた。きっと技術的に未熟だからと思っていたから、レッドベターの本やDVDを買って勉強もした。
しかしますます重症になっていく。
グリーンを外してしまうとその場所に向かう途中で息苦しくなる。下を向いてしまう。その場所に立つのがイヤなのだ。
 
YIPSと書いてイップスと読む。
今自分が襲われている状態がこの「精神疾患」であると気付いたのはつい先日である。
そもそもこの「精神病」が発見されてから今年でちょうど40周年である。
ただし医学書には記載されていない。ということは医学生の時には習っていない。
発見し命名した者の名前は「トミー・アーマー」、1967年のことである。もちろん医者でもなく大学教授でもない、有名なプロゴルファーである。当時はあのボビー・ジョーンズやベン・ホーガンといった有名なゴルファーが活躍していた時代のこと。
しかし一流プロだからこの病気にかかると言うことではないらしい。あのMayo Clinicから2000年に報告された論文ではすべてのゴルファーの33-48%にこの症状を認めたとされており、25年以上の経験者ほどでやすい傾向があるとのこと。医学的にはfocal dystoniaが原因であると考えられている。つまり局所的失調症とでも訳されるだろうか。
 
そのことに気付いたら急に肩の力が抜けてしまった。
練習をやめてしまおう、少しゴルフを休んでみよう、という気持ちになれば良いのかもしれない。もっと気楽に楽しもうという気持ちが必要なのかも知れない。
そう言えば先輩に「まじめに取り組みすぎだよ」と言われたことを思い出す。
「オオタキはオオタタキと一字違い」と思ってしまえばいいのだろうが、実に難しい。
きっとまた懲りずにひたすら練習場でボールを打っているだろう。
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