医学部定員の増加
「医師不足」の背景には以前にもコラムで書いた通りである。
ここにきて「医療費抑制策」はそのままにして医学部定員を増加することになった。国公立50大学で422人、私立大学27大学で271人の定員増らしい。魔法を使わずに出来るわけがないが、とりあえずお手並み拝見ということになる。
 
そもそも医学部定員を抑制した背景には、医療費亡国論を訴える財務(当時は大蔵)と厚生官僚に加えて、既得権益を守りたい医師会がタッグを組んだと考えられる。そのことは当初、医師会幹部は医学部定員増には積極的に賛成はしていなかったことからも推測される。
おそらく国立大学医学部を除くと私学の医学生は相当な率で開業医の子弟が多いはずだ。なぜなら入学金や授業料が普通の家庭では払えないような相当な高額であるという点が最大の理由だ。もちろん「後継者が必要である」という開業医の現実的な願いがそうさせている場合があることは理解できる。
したがって入学定員が増加するということは、「子弟を入学させたい親」にとっては朗報なはずである。
 
問題は
(1) 定員増の効果が出てくるには最低10年はかかること
(2) したがって現状の「医師不足」の特効薬には成り得ないこと
(3) 医学部学生を増やすことは教える側(つまり医学部教員)も増やさなければならない
(4) ところが医学部は文部省管轄であるため教員増はそう簡単にはできない
ここでもチグハグな対応が見えてくる。
本気でなんとかしなければと思っているのだろうかと疑わざるを得なくなる。厚労大臣がこれまでにないくらい官僚達を敵に回してでもイニシアチブを取ろうとしていることは評価できる。特に審議会論議をオープンにして論戦が見えるようにしていることは意義がある。
それにしても審議会を取り仕切る座長さんたちをみると、「ご意見番」風老人が多いのは何故だ。彼らが医学界のリーダーとしてずっと君臨してきたからこうなったとも言えるのに、その「犯人」たるご老体たちが何故仕切っているのだろう。不思議でならない。
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